2006 |
08,28 |
«やさしさとは・・»
お勧め度:★★★★☆
遅ればせながら「半落ち」を読みました。
私の場合、電車の中で読書することが多いので、
ブツブツと話が切れてしまって感情移入しにくいという不具合があります。
この話については、映像で集中して見たほうが良かったのかもしれません。
面白かったけど、感動して涙が出そうになったというようなことは無かったです。
歳をとったとはいえ、50歳にはまだ遠く実感が無いからなのかもしれません。
本の構成としては、すごく斬新で面白かったです。
一人の被疑者が流れ作業で裁かれていく様子が、
視点を変えて描写することで、よりありありと感じることができました。
この本を一文で要約すると、
アルツハイマーで苦しむ妻の「殺して欲しい」という願いを聞きいれ妻を殺害し、そのことで起訴された元警察官の葛藤とその周りで起こる俗っぽい人間模様を描いた作品です。
一文にすると、どうにも味気ないのですが、
「ほんとうのやさしさとは何か?」という事を考えさせられます。
ほぼ100%の人が、
「植物人間やアルツハイマーで、自分を感じることが出来ない状況で、それでも生きつづけたいか?」
という問いに対して「NO!」と答えると思います。
ですが、視点を変えて、そういう人を見守る立場になった場合に、
「NO!」をつきつけられるかといったら、これもほぼ100%できないというのが現実です。
自分のして欲しいことを、他人にしてあげるのが「やさしさ」ならばこれは矛盾してます。
私は、この本の主人公がした事は間違ってないと思います。
このケースに関しては、殺人だからダメだと言い切れる人はいないでしょう。
この本の終盤に出てきますが、殺人罪なのに実刑が3~5年というのは意外でした。
やはり、社会的にもある程度は容認する考えがあるのかもしれません。
高齢化社会になり、ますますこういう問題が顕在化してくると思います。
小説だけのことではなく、真剣に自分に置き換えて考える必要があるのかもしれませんね。
この本を読んで、横山秀夫のほかの著書も読もうと思いました。
男がなぜ「半落ち」だったか。その真相が判明したときにどわーっときました。
本を貸してくれた友達が最後の数ページでくるよ、と言っていたけどそのとおりでした。
去年見たので忘れてた部分があったんだけど、当時この映画について書いたコメントがあったのでそれを載せます。
「この映画はミステリーとかではなくて、心温まる映画。出演者の演技のうまさがそれをますます効果的にかもし出している。」と去年の自分が言ってます(笑)
佐々部清監督の「半落ち」観ました。
出演者達やスタッフのプロ意識の高さ、
原作の素晴らしさに、ただただ感動です。
ただ、素晴らしいからこそ、求めるものも、
期待も大きくなるし、妥協を許せなくもなる。
特に、キャスティングに対しての
評価は分かれるところだと思います。
特に吉岡君の判事、西田さんの地検のトップ役は・・・。
もう一度見直して、最終評価したいです。
P.Sトラックバックさせてください